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それから、舞がホールについての説明をキッチリしてくれる。
もっとも、他の飲食店、しかも居酒屋で働いていたことから、すぐに覚えた。
慣れればこっちのもの。
スイスイと仕事をこなして行く。
優子を知らない他のバイト仲間は、その仕事ぶりにおっかなびっくり。
見た目から言えば、完全に何もできない妹キャラでもおかしくない。
だが、現実を見ればどうだ。
仕事っぷりは先輩をも凌駕し、甘えなんか当然ない、想像とは真逆のクールな顔。
こんなにギャップのある子、多分この職場では誰も見たことがないだろう。
将生「舞ちゃん、あんなにできる子、どこで知ったの?」
舞「中学校から。
あの子、器用だからね~。
なんでもできちゃうのよ。」
将生「へぇー・・・お前とは大違い。」
舞は、無言で将生の足を踏みつけ、何事もなかったかのように仕事へ戻る。
将生「痛あ!!
冗談なのに・・・」
将生も、仕事へと戻っていく。
仕事終わりは、12時になる。
仕事が終わると、ワイワイしながらまかないを囲んで飯を食べる。
優子も、食べてはいるが、無言で食べ、毎回無言で帰るか、舞が話しかければ舞と話すぐらい、無口だ。
将生は将生で、女の子に囲まれながら飯をそそる。
ハーレムができるぐらい、将生は人気だった。
背も高く、黒肌でイケメン、さらには頭の回転がよく、機転が効く。
頼りにされている。
舞「優子、将生先輩、やっぱりかっこいいよね!」
優子「え?あ、うん、まあ。」
優子は、自分とは縁のない人だな、と思いつつも、舞の返事をする。
たしかに、かっこいいし、なかなかいい人だと思う。
だけど、それ以上にかっこいい人を自分は知っていたから、興味が湧かない。
ただそれだけ。
優子「じゃ、さきいくね~」
舞「おつかれ~」
毎日、同じことの繰り返し。
朝起きて大学へ行き、講義を受け、帰ってはバイトをし、終われば飯を食って帰る。
優子の仕事の範囲も、ついにキッチンへと領域を移す。
なんでもできる頼れる人に、優子がなっていく。
将生も、バイトリーダーとして、こんなできる子が入ってきたことには感謝しているが、どこか気になる部分が一つあったのだ。
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