第四回

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あんなに仕事中は指示を出したりと、言葉を発するのに、まかないの時になると、急に寡黙な人と化すのだ。 ここまで寡黙になるのかというほど、寡黙だ。 こんな性格なんだと言っちゃえばおしまいだが、見た目は可愛い妹系。 環境は顔を作る、というが、そんないじめられたとか、虐待されたとかの背景が全く感じられない。 かといって、彼女に直接聞いてしまうと、何かすっごく悪い気がする。 そう言っている間にも、彼女はまかないを黙々と食べ、そして帰っていく。 優子「お疲れ様でした。」 将生「おう、お疲れ・・・」 その何か物思いにふけっていたよくな返事に、取り巻きの女の子が突っ込む。 女の子「先輩、どうしたの? あの子なんかほっといて、話しましょうよ!!」 気づけば、視線は彼女に向いていた。 よくわからない。 彼女について、少しは知りたい。 当初は、バイトリーダーとしての責任として、後輩のケアは大事なことだという思いがあっての行動だった。 後日・・・ 舞「ん?優子について知りたいだって?」 一番手っ取り早いのが、一番の親友、舞に聞くこと。 将生「あぁ。 よくわかんなくて。 あんなに寡黙な理由が。」 舞「昔からあんなんだったけどね。 でも、中学校より寡黙さがひどくなってる。 私もよくわかんないんだ・・・・・」 舞にも、よくわからないと来たか。 将生「あ~、そっか。」 舞「あ!きょっとして、先輩、あの子のこと、好きなんじゃないの?」 でた。舞のいつものやつ。 こういう話にはうるさいんだよな。 将生「違うし!! 俺、今彼女いるから!! ただ、バイトリーダーとして、後輩のメンタルケアは必要だと思っただけ。」 そう、俺には彼女が・・・・いない。 実は、1週間前に喧嘩して別れちまったんだよな・・・ はぁ。 そこ今つくかよ・・・ 舞は、こっちをじろじろ見ながら、へぇ、と一言いう。 舞「でも、先輩別れたって聞きますけどね・・・」 何で知ってんだよ!! 将生「あ~もう、この話は終わり!! お前に聞いたのが間違いだった!!」 照れ隠しに見えるかもしれないが、内心怒っている状態で、話を無理やり遮断し、帰る。
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