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将生「あいつ、何か悲しい過去を背負ってるのかな・・・」
舞は、口を恐る恐る開きながら、話を始める。
舞「優子には、お兄さんがいるんですけど、お兄さんに何かあったのかもしれません。
それと、不可解な点がもう一つあります。」
将生は、じっと耳を傾けて、話を聞く。
舞「優子の姓が、昔と今じゃ全く違うんです。
そこにも、何かあるかもしれないです。
あいつ、昔っからお兄さんっ子で、本来は甘えん坊なんです。
お兄さんの前だと、誰といようが甘えまくるようなやつだったのに、他の人の前だとそっけない態度をとる。
不器用なんです。優子って人は。
多分、本当は仲良くしたいのに、上手く仲良くなる方法を知らないだけなんです。
もしかしたら、将生先輩だけかもしれません。
優子の心の扉を、開いてあげて下さい。」
あの甘え様からして、舞の話は本当だ。
優子の過去をあまり知らないが、それでも、俺が、キッチリ心を開かせる必要があるのかもしれない。
将生「でも、なんで俺なんだ?」
舞「なんとなくなんですけど、少し優子のお兄さんに似てる部分があるんです。
面倒見が良くて、豪快で、なおかつ繊細。
だから、先輩なら、と思ったんです。
私だけじゃどうにもならない問題なんです。
だから、一緒に優子を救って欲しいんです!
よろしくお願いします!」
滅多に見ない、舞の真剣な顔。
ここで感じた。
舞は、ここまで真剣に、友達を思う子なんだと。
それと、優子を、先輩として変えるのではなく、一人の男として、優子を守りたい、と。
後ろで甘えまくる優子と、過去の話。
悲しい過去を一人で背負いながら生きる優子を、支えてあげたい。
そう思えた。
そして、時は過ぎ・・・
旅行が終わり、帰ってきた直後に、将生は優子を呼んだ。
優子「なんですか?」
もう、守らなければならない。
優子を。
だからこそ、将生は言った。
いましか、言えない。
恋へと加速した心を、止められない。
将生「あの、さ、お前のこと、好きなんだ・・・
お前の悲しみ、嬉しさを、お前と共有していきたい。
だから、俺の、彼女として、この先を一緒に歩んで欲しい。
受け入れてくれるか?」
沈黙が流れる。
すると、急に顔を真っ赤にして、優子は倒れた。
将生「え?え!?
優子!?」
マジかよ・・・・
そう思いながらも、とりあえずまずは優子を、自宅へと引っ張っていく将生であった。
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