君の幸せを

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慎吾は惚れっぽい奴で、毎日のようにその惚れた奴の話を俺に聞かせてくる そして、俺は毎回平然とした顔で、冷たく返す 必死に自分の心を隠して、慎吾の話を聞いていた 幼稚園に入った頃の、純粋に楽しいから好きだとか 小学生の頃は、いじめたくなっちゃったりだとか 中学生の頃は、気恥ずかしげな感じで語っていたりだとか そして、高校生になった今は 少し性的な意味でも、女の子を見るようになったみたいだった 大人になったら きっと、子供の事も考え始めるだろう その時、俺は気づくんだ 俺じゃ、ダメだって でも今は、高校生 だから、どうしても 俺じゃ、ダメなのか…? そんな邪な考えが俺の頭を回って、離れなくて、俺を侵食していく 「そんでさー、愛実ちゃんがね」 愛実ちゃんじゃなきゃ、ダメか? 俺は、こうやっていつも口を閉じるんだ 可笑しい言葉が漏れてしまわない様に、慎吾と離れたくないから 慎吾が好きだから
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