バレンタインデーの悪夢

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「痛ぇえ!」 その“何か” とは、傍にあったペットボトルだ。 けど中身は十分に入ってるし、1、5リットルのペットボトルは十分凶器になったみたいだ。 そこまで致命傷にならなかったみたいだけど、私がソレを力任せに振り下ろしたため、森さんはめちゃくちゃ痛がっている。 私はその様子を視界に映しながら、恐る恐る立ち上がってすぐ部屋を出た。 そのままアパートも飛び出した。 ――… 乱れた衣服。 ボサボサの髪の毛。 荒い呼吸。 そして破れたストッキング。 わたし……一体何をやってるんだろう。 その時、ふと脳裏に浮かんだのは幸せそうな妹の“笑顔”だった。 幸せいっぱいのバレンタインデー。 でも私は妹と正反対だ。 この日は、悪夢のようなバレンタインデーになった。 次第に、……目頭に熱いものが宿り始める。 ゴシゴシと手の甲で拭っても、その涙は次から次へと溢れて止まらない。
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