バレンタインデーの悪夢

11/12
前へ
/36ページ
次へ
どうして……? どうしてなの……? どうして私が、こんな目に遭うの? 私が一体何をしたというの? ……誰か、教えてよ――― 幸せなお姫様がいる反対側では、灰を被った不幸なシンデレラだっているんだ。 トボトボと、自分の家までの距離を歩く。 タクシーに乗らずひたすら歩いた。 まるで時間稼ぎをしているみたいに歩いていた。 ―――… そしてやっと自分のアパートが見えてきて、ふと漏らした安堵のため息。 けどそのアパートの大きな木に寄りかかる人影を目にして、足が止まってしまった。 ……彼だった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加