バレンタインデーの悪夢

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そう、……私が今1番会いたくない人だ。 私に気がついた彼は、この乱れた格好を目の当たりにして、かなり驚いた表情を浮かべた。 「お姉さん? 何かあったんですか?」 ……ずるいわよ。 いつもこんな時にばっかり現れて………… 1番に慰めて欲しい人は絶対に現れないのに、どうしてあなたは現れるの? ずるいわよ! 「――ずるい……反則よ」 私は誰か優しくされたくて、彼の胸に飛び込んだ。 ……甘い香水の香りがして瞼を下ろした。 「お姉さん?」 「今だけ、今だけでいいの。思いっきり抱きしめて―――」 ごめんね、理紗。 今だけだから、あなたの恋人を貸してください………
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