バレンタインデーの悪夢

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……次の日。 目を覚ますと、キッチンの方でカチャカチャと物音が聞こえた。 キッチンを覗くとそこには、パジャマ姿の理紗が何かをしていた。 「……理紗?」 「あ、お姉ちゃん……おはよー」 声をかけると、笑顔で返す彼女。 どうやら今日は機嫌がいいみたいだ。 彼女は昨日私が作ったチョコレートの包みを、冷蔵庫から取り出していた。 「お姉ちゃん、チョコありがとうね!」 と言った彼女は、そのチョコレートをテーブルに置く。 それから着替えのためか、部屋に舞い戻っていった。 そこで私は、昨日のカレーをコンロで温め直す。 彼が帰った後、私も食欲がなくなって食べなかったカレー。 昨日のままの状態で、量的にはかなり多いのだ。 理紗も昨日の夜、帰って食べなかったみたいだし…… ――… 数分後、理紗がお洒落をして部屋を出てきた。 綺麗な黒髪を、頭の上でおだんごにまとめている。 少し香水も付けているのか、甘い匂いがした。
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