バレンタインデーの悪夢

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「理紗、カレー温め直したけど、食べるでしょ?」 「いらなーい」 彼女は甘い声でそう言うと、持っているバッグの中にチョコレートの包みを入れた。 「でも、朝ごはんまだでしょ?」 「だってカレーって臭いんだもん! それにもうランチの時間だし、刹那と一緒に食べるから平気だよ」 彼女はそう言って、足早に玄関へ向かっていく。 “臭い” 何気ない彼女の一言に、困惑する。 確かに今からデートとなると、カレーの匂いが気になると思う。 だから彼女の気持ちも分かる。 そんな彼女は、最近買ったばかりのお気に入りのブーツを履いて玄関を出て行った。 ……昨夜帰りが遅かった理由を聞けないまま彼女を見送った。
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