バレンタインデーの悪夢

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ドアをノックして、私はその向こうから現れる人物を待った。 けどそこから現れたのは木綿先輩ではなく……森さんだったのだ。 ガチャッ! 「あれ、理香ちゃん?」 そう言う森さんは、上半身ハダカ。 はっきり言って目のやり場に困る。 私は視線を逸らして、部屋の様子を窺うと口を開いた。 「あの……木綿先輩は居ますか?」 部屋の奥に、もしかしたら海さんがいるのかもしれない。 そして、海さんもハダカなのかもしれない。 ……何てタイミングの悪さだろう。 そんな自分を思わず呪いたくなる。 そう思っていたら、森さんがドアを全開にした。 「木綿ね、タバコを買いに近くのコンビニに出かけてんだわ。すぐ戻ると思うけど? つうーか、俺も海と約束があるし出かけるんだけど、木綿が帰ってくるまで待ってるか?」 私はその言葉に疑うこともなく、コクリと頷いた。 “すぐ戻る” その言葉が決め手となったんだ。
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