バレンタインデーの悪夢

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と放った森さんの信じられないようなその言葉に、……私は絶句するしかなかった。 嘘よ。 木綿先輩はそんな人じゃない。 私を……自分の彼女を、他の男の人に差し出すような真似、そんなことするような人じゃ……ない…… 「っ……ん……」 気がついた時には、身体の自由が奪われていた。 森さんの顔が影になって重なる。 お酒や煙草、……そんな味しかしない唇を重ねられた。 手は私の衣服の中へ侵入してきた。 いっ……や…… やだ……っ…… 気持ち悪いっっ!! 「やっ、だっっ」 私は手をバタバタさせて何かを掴むと、そのまま森さんの頭部目がけて振り下ろした。 ――ガゴンッ! その音が聞こえると、森さんが自分の頭を抑え込んだ。
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