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「あのさ…頼みがあるんだけどね」
小声で佐伯が話し掛ける
「何でしょう…無理な事じゃなければ」
「君が奢るって話だけど、次の機会にしてくれないかな。此処で君が払うと格好悪い」
憎めないオトコ…ついつられてしまう
「それじゃ…この後付き合ってくださいよ。次は私のテリトリーで…」
微笑みながら頷く
かけ引きにもなっていない
多分このオトコは
私が惹かれかけている事も充分わかっている
自分の馴染みの店へ連れて来たのも
深い意味はないかも知れない
余裕がある…
その余裕が心地よすぎる
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