第1話
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大きな手は、すっぽりと肩を包む 数センチ先から微かだった香りが 私にまとわりつく 不覚にも身体の芯がぐらりと緩む 「濡れなかった?」 タクシーに行き先を告げると そう笑い掛ける 「私は大丈夫ですけどね…」 そう言いながらハンカチで彼の肩を拭いた 「ありがとう、行きつけの店で良いかな」 「ええ、愉しみです…」
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