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「刹那ったらトイレとか言って、なかなか戻ってこないんだもーん」
「ゴメンオレ方向音痴で……戻る場所が分かんなくなってさ。だからお姉さんのところに戻ってきたんだ」
彼はそう言うと、「それよりお弁当食べよ?」と必死に彼女の機嫌をとる。
ねぇ彼は、もしかして嘘を吐いてまで私と居てくれたのかしら?
……そう思うことは、私の自惚れのような気がした。
「そういえば、理香の手作り弁当なんだって?」
と木綿先輩が、笑顔で私と視線を合わせてくる。
けど……
「木綿さんったら違いますよー お姉ちゃんが寝坊したんで、あたしが作ったんです!」
理紗が突如そんなことを言い出した。
まぁいいけど。
どうせ、桐原君にいいところを見せたいんだろう。
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