波乱のダブルデート

2/32
前へ
/32ページ
次へ
……三月初旬。 どうしてこんなことになってしまったのか、もう1度考えてしまう。 でもどう考えても答えなんか見つかるはずもなく、かけてあるシートベルトに手をやってグッと唾を呑み込んだ。 ふとミラーに目をやると、彼と目があって不自然なほどに視線を逸らした。 隣を見れば木綿先輩の運転姿。 以前の私なら、これが当たり前で “安心する場所” はここだとずっと思っていた。 けど先月のバレンタインデーの出来事から、徐々に歯車が狂い出した。 何もかも上手くいかなくなった。 私や木綿先輩や彼の気持ちを何も知らず、1人騒いでるのは理紗だけだった。 彼の腕に回された彼女の手が、とても気持ち悪くて仕方がなかった。 心の奥底の悪魔が叫んでいた。 “早く別れてしまえ” と……。 会話もなく順調に走行していた車は、ある駐車場で停車した。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加