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……三月初旬。
どうしてこんなことになってしまったのか、もう1度考えてしまう。
でもどう考えても答えなんか見つかるはずもなく、かけてあるシートベルトに手をやってグッと唾を呑み込んだ。
ふとミラーに目をやると、彼と目があって不自然なほどに視線を逸らした。
隣を見れば木綿先輩の運転姿。
以前の私なら、これが当たり前で “安心する場所” はここだとずっと思っていた。
けど先月のバレンタインデーの出来事から、徐々に歯車が狂い出した。
何もかも上手くいかなくなった。
私や木綿先輩や彼の気持ちを何も知らず、1人騒いでるのは理紗だけだった。
彼の腕に回された彼女の手が、とても気持ち悪くて仕方がなかった。
心の奥底の悪魔が叫んでいた。
“早く別れてしまえ” と……。
会話もなく順調に走行していた車は、ある駐車場で停車した。
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