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「――着いたぞ」
と言っていつもなら私と目を合わす木綿先輩は、気まずさからか1人先に車を降りていった。
木綿先輩とはあの日以来、まず2人で会うこともなかったし、何度か連絡をくれたみたいだけど、忙しいことを理由に自分からは連絡をしなかった。
こんな風に気まずさが残るなら、やっぱりちゃんと話し合うべきだったと思う。
それがどんな結果になったとしても、今よりはずっといいだろう。
理紗も車を降りて彼も車を降りた。
車内に残ってるのは私だけだ。
賑やかな声が耳に届いて、アトラクションが動く音も耳にする。
……“遊園地”って気分じゃないんだけどな。
そう思っていたら、助手席のドアが急かすように開いた。
「みんな、待ってますよ?」
彼がドアを開けて、私が出るのを今か今かと待っている。
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