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“あなたはこんな気まずい気持ちなんか、知らないでしょ”
少し毒を吐いて車から降りようとした時、優しい声が耳に届いた。
「千条さんと少しでも話し合った方がいいですよ。もしもどうしてもそれが嫌なら、オレ逃がしてあげましょうか?」
その言葉に顔を上げると「オレ、スーパーマンですから」と言って片目を閉じる彼。
思わず「ぷっ!」っと噴き出すと腕を掴まれた。
「さてと行きますか! あ、笑顔を忘れずに!」
そのまますぐ離れた“手の温もり”は元ある場所へと戻っていった。
……そう妹の“特等席”へと。
そんな彼はずるい。
甘い言葉ばかり囁いて、結局は妹の元へと戻っていく……。
私達の時間だっていつも限られている。
邪魔ばかりされてしまう。
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