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「理香…」
車を降りて彼の背中が遠くなると、次第に視界に入ってきた木綿先輩の顔……
罰が悪そうなオドオドしたその目は、いつもの木綿先輩からは想像つかなかった。
悩んでいたのは私だけじゃない……木綿先輩も苦しんでいたんだ。
……木綿先輩にもきっと理由があったんだ。
なら彼女として、その理由をきちんと聞いてあげないと。
“笑顔を忘れずに”
そうね、こんな時だからこそ、笑顔を忘れたらダメよね?
私は笑顔を作り直して木綿先輩の元へ駆け寄ると、大きな手のひらを差し出された。
少し躊躇したものの、その手のひらに自分の手を重ねて、もう1度笑顔で木綿先輩の顔を見上げた。
「あの日のこと……ちゃんと話してくれますよね?」
「ああ、話すよ」
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