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「文美いつまで入ってるの?後が閊えてるんだけど」
さっきまで完全にダウンで起き上がることも辛そうだったはずの理恵がドアを軽くノックしてきた。
「ごめーん、今出るから」
私は誤ると慌てて身体と頭を洗いカラスの行水状態で風呂場から出た。
風呂を出るとさっきまではなかったのにスウェットが用意されていた。
下着は仕方ないが、匂いのついた服は着る気にもならなかったので有り難く思いながら着させてもらう。
部屋に戻ると鼻をかすめるコーヒーの匂い。
「長かったね。まさか寝てたわけじゃないよね」
あまりの長さにあらぬ疑いをかけられてしまった。
「違うよ、ちょっとボーっとしてただけ」
誤魔化し笑いを浮かべながら理恵の方に歩み寄る。
「本当?まぁいいけど、文美ってコーヒー飲めなかったよね」
たまに格好つけて勧められると飲んだりするけど、本当はかなり苦手。
飲んだ後に残る舌の渋さと苦さがどうも好きになれない。
それと同じ理由でビールも飲めないお子ちゃま味覚な私。
大人になると自然に飲めると思っていたが、そういうものではないのだと知った。
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