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私のかしこまった返事に篤くんが茶化すように笑う。
返事をした自分でもアレは無いだろうと思い恥ずかしくなってゆく。
篤くんはピタリと笑うのを止めたと思うと話を切り替えるように一息つくと
「知らない番号だから無視しようと思ったけど出てみてよかった」
少し嬉しそうに染々とした口調で溢した。
その言葉に私の胸は高鳴り、そして期待してしまいそうになる。
でもすぐに"彼女"のことが脳裏に横切り、気持ちを現実に引き戻す。
期待しちゃダメ……
期待しちゃダメ……
念仏でも唱えるように何度も何度も心の中で呟き自分に言い聞かせる。
その間も篤くんは私の気持ちも知らず、楽しそうに会話を投げかけてくる。
私はそれを何とか返しつつ気持ちを落ち着かせ、正志くんのことを聞くタイミングを計っていた。
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