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でもいくら待っても篤くんからのメールは返ってくることはなかった。
いつの間にかポツリポツリと雨が降り出し、周りの人たちが小走りで屋根を求め走ってゆく。
暫くその人波に揉まれながらも立ち尽くしていたが、次第に酷くなりだす雨に、やっと私の足はゆっくりと動き出した。
もしかしたら単なる気まぐれだったのかもしれない。
篤くんにとったら私なんて所詮、大勢いる友人の中の小さな存在なんだから。
何を期待したんだろう……
何を待っているんだろう……
何を……
メールなのに雨の中に立ち尽くし待ってしまっている自分が滑稽に思えてきた。
「全然、諦め切れてないじゃん……」
笑いと共に目から涙が一粒零れ落ちたのが分かった。
でもちょうど降ってきた雨がそれを隠し、手で拭いさえしなければ周りに気づかれることはない。
私は漏れそうになる声を必死に殺し、ひたすら涙だけを頬に滑らせた。
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