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歌い終わりテンション高めで次の子にマイクを渡し、座った私に友人の一人が
「文美の携帯光ってるよ」
テーブルの上に出しっぱなしにしていた私の携帯を指差し教えてくれた。
携帯を見ると電話かメールかまでは分からないが確かに携帯は着信があったことを知らせている。
「理恵かもね」
正志くんと先約があり今日の女子会に参加できず残念がっていて、もしかしたら途中から合流するかもって言っていたことを思い出す。
「かもね。理恵なら早く来るようにって言っておいて」
そう言い残すように言うと立ち上がり歌いだした。
こう言われて私も着信の相手が理恵だと疑っていなかった。
でも携帯を開き、そこに表示された名前に私は心臓が止まりそうになってしまった。
もう見ることは無いと思っていた名前……
もう来るとは思っていなかった人からのメール……
「どうした?」
向かいに座っていた亜希子が私の異変に気づいて声をかけてくれた。
「ううん。あ、メール理恵じゃなかった。ちょっとトイレ言ってくるね……」
慌てて取り繕うように返事をしたが、自分でも分かるくらい怪しい。
それでも私は携帯を握り締めたまま席を立ち飛び出すように部屋を出た。
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