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楽しかったはずのみんなとの時間が一気に色褪せてゆく。
さっきまで一緒になって騒いでいたのに今は全くテンションが上がらない。
ずっと篤くんのことが……
あの三文字が……
頭から離れなくて、ずっとぐるぐる回っている。
「どうした?飲みすぎたの?」
ちょうど戻ってきた亜希子が心配そうに顔を覗き込んできた。
大丈夫―――そう言おうと思ったけど私の中に迷いが生じ、気づくと席を立ち上がっていた。
「そうみたい。ごめん、先に帰るね」
久しぶりみんなと集まっているのに……
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら私は一足お先に店を出た。
店を出た私はどこに向かっているとかはなく、ただひたすら走った。
まだ自分の中から篤くんを振りきりたいって気持ちが私の足を動かした。
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