偽りの幸せ

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 "会いたい"---絵文字もなくたったコレだけ書いて送った。  いつもは付ける絵文字がないことから何かを感じて欲しいという私の微かな抵抗。  自分の中で決めたくせに、やっぱり怖くてズルをしてしまった。 「これくらい良いよね……」  結局、弱く自分に甘い駄目な私。  こんな中途半端なことをするくらいなら、いっそ何もしなければいいのにって自分でも思ってしまった。  でも今の状態も……  そんな関係を続けようとする自分も……  最初は良かったが徐々に冷静さを取り戻したのか、嫌になってきた。  ---何だろう?  他人には決して見せたくなかった自分の汚い部分が浮き出しになってしまったような……  いや。自分さえも知りたくなかった本当の姿をこれ以上知りたくないのかもしれない。  純粋とは口が裂けても言えないが、自分の中にこんなにドロドロとした嫌な感情があることが嫌だった。   .
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