26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ううん、まさか。昨日ちょっと夜更かしして眠いだけ……」
慌てて平静を取り繕いながらお酒に手を伸ばす。
「本当に大丈夫か?」
お酒に口をつけようとする私の手を篤くんの声が止める。
「大丈夫だって」
心配そうに私の様顔を覗きこんできた篤くんに思わず顔を逸らし、少し多めにお酒を流し込む。
普通にしてればいいだけなのに、普通が分からなくて、つい篤に対してよそよそしくなってしまう。
自分が今どんな顔をしているのかさえ分からないのに、2人の目に私はどんな風に映ってしまっているんだろうって思うと怖くて仕方ない。
人を好きになることは悪いことではないのに……
その気持ちは誰にも止める権利もないはずなのに……
自分の中にかつて感じたことのない後ろめたさがあるからか、気持ちがブレる。
理恵みたいに自分に素直で真っ直ぐな性格だったら、どんなに良かったんだろう……
隣で幸せそうに笑う理恵の姿が羨ましく感じ、そして願望からか2人の姿に自分たちを重ねて見てしまう。
.
最初のコメントを投稿しよう!