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「ごめんな。何かずっと中途半端で……」
急に篤くんの顔から笑みが消え、一瞬和んだ空気が一気に重くなってゆくのを感じる。
「ううん」
私は首を横に振りながら勝手に期待してしまっていた自分に気持ちが落ちる。
篤くんが私に会いたいと言ったのは謝るためで、期待する方が間違っていたのだと気づく。
勝手に期待しておいて自ら落ち込んでしまっている自分がすごく情けなく感じながら、それを悟られないように平静を装う。
そんなわけないって冷静に考えれば分かっていた事。
だって篤くんは私がメールで一方的に別れを告げても何も言ってこなかった。
ううん。実際付き合っていたわけじゃないから、あのメールさえあまり意味がなかったのかもしれない。
前みたいに会話は繋がらず、ポツリポツリと妙な間と違和感のある空気。
私からは話しかける事はできず、篤くんの問いに答える様な感じがしばらく続く。
でも一向に彼女と別れたという話は篤くんの口からは出てこない。
理恵の言う通り篤くんと彼女が別れたのは私のせいではなく、2人の問題なのかもしれない。
もう諦めよう……
最後にこうやって篤くんと話せたことで、これで本当に気持ちの踏ん切りもつけるような気がしてきていた。
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