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気づけば私は店を飛び出し、そして人目も気にせず篤くんに抱きついていた。
さすがに篤くんは驚いたみたいだったけど、すぐに抱きしめ返してくれた。
「文美、ちょっとは人目考えろ」
何かでお尻を殴られたと思うと理恵の呆れた声がして我に返る。
一気に恥ずかしさが込み上げて来て私は慌てて篤くんから離れる。
「やっと気づいたか。少しは周りを気にしなさいよ」
言いながら押しつけるように手渡してきたのは私のカバンで、多分さっき私のお尻を殴ったモノ。
「あとは2人でちゃんと話しなさいよ。---篤くん、文美を泣かせちゃ駄目だからね」
軽く篤くんを睨みつけ言い聞かせるように言うと、さっさと帰って行ってしまった。
その場に残された私達は今更ながら妙な気恥ずかしさと居心地の悪さを感じていた。
「ちょっと場所移すか……」
先に口を開いたのは篤くんで私は妙な緊張感を感じながら頷き、大人しくその後を着いて歩いた。
少し前を歩く篤くんの背中にすごくドキドキする。
完全に私は期待していて……
今まで堪えていた気持ちが今にも溢れだしそうになっていた。
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