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今更そんなことを蒸し返したように言われたって篤くんだって困るだけなのに。
「ごめっ---!?」
咄嗟に謝ろうとしたのに、その言葉は途中で詰まってしまい最後まで口にすることはできなかった。
代わりにさっきまで感じられなかった温もりが私の背中を包むのを感じた。
---それは私の知っている大好きな温もり。
「早く言えよ」
キツく私を抱きしめながら篤くんが切なげに囁く。
その声に胸がキューっと締めつけられるような苦しさと同時に胸が熱くなってゆくのを感じた。
「好き……好き……好き……」
私は我を忘れ何度も何度も、まるで呪文でも唱えるかのように口にしてしまった。
「うん、分かったから。---俺も好きだから」
さっきよりもずっと……
ずっと……
私を抱きしめる篤くんの腕の力が強くなって2人の距離がグッと縮まるのと同時に気持ちが重なったのを感じた。
「私も好きーっ」
泣き叫びながら身体を反転させ思いっきり篤くんに抱きついた。
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