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無事…終わった…?
…無事って……卵巣は!?
思い出した様に視線を先生に戻す。
「先生、私の卵巣は?」
「うん、心配ないよ。…病室に帰って麻酔がしっかり醒めてから話すね。麻酔が醒めると、しばらく寒気と嘔気が来ると思うけど、あまり辛かったら言って。嘔気時の指示出しといたから」
「…はい」
先生の心配ないと言う言葉で、ほっと笑みが溢れた。体からモニターや抑制帯が外される。
河合先生、麻酔医、ナースと共に、私を乗せたストレッチャーはオペ室を退室した。
オペ室内の通路をゆっくりと進む。
半覚醒状態の私は、自然と瞼が閉じ再び眠りへと誘われていた。
……
「…神崎さん、神崎さん」
突然、低い声が耳に流れ込み、ゆっくりと目を開ける。
「大変だったな。お疲れさま」
ストレッチャーの柵を持ち、中腰で私を覗き込む大きな体。
「かず……結城先生…」
私の顔のすぐ横で、和馬が優しく微笑んでいた。
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