緊急手術

10/25
前へ
/26ページ
次へ
無事…終わった…? …無事って……卵巣は!? 思い出した様に視線を先生に戻す。 「先生、私の卵巣は?」 「うん、心配ないよ。…病室に帰って麻酔がしっかり醒めてから話すね。麻酔が醒めると、しばらく寒気と嘔気が来ると思うけど、あまり辛かったら言って。嘔気時の指示出しといたから」 「…はい」 先生の心配ないと言う言葉で、ほっと笑みが溢れた。体からモニターや抑制帯が外される。 河合先生、麻酔医、ナースと共に、私を乗せたストレッチャーはオペ室を退室した。 オペ室内の通路をゆっくりと進む。 半覚醒状態の私は、自然と瞼が閉じ再び眠りへと誘われていた。 …… 「…神崎さん、神崎さん」 突然、低い声が耳に流れ込み、ゆっくりと目を開ける。 「大変だったな。お疲れさま」 ストレッチャーの柵を持ち、中腰で私を覗き込む大きな体。 「かず……結城先生…」 私の顔のすぐ横で、和馬が優しく微笑んでいた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加