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俺たち、各部屋に戻った。松田くんが、言っていた言葉。
寺下くんが、俺の事が好き。
それは、嬉しい事だ。友達として、好きと言われて。
初めて、だから。だから、俺も直接言わなくちゃ。
部屋に帰ると、リビングに寺下くんが居ると思って居たがおらず。自分の、部屋にいるのだろうな。
コンコンと、部屋のドアを叩いた。
「……何だ」
「さっき、松田くんが言った言葉」
「あれは、その…忘れてくれ。あいつが、勝手に言った嘘だ」
「えっ、あ、うん。ごめん」
心が冷えるのを感じた。それは、それはとても痛かった。
俺が勝手に、友達だと勘違いしてたんだ。転校生だから相手してた、それだけだったんだ。
馬鹿だな、俺。
本当に、馬鹿だ。
泣きそうになるのを堪えて、俺は自分の部屋に戻り、ベッドの中に潜り込んだ。
少し前の自分に戻りたい。何も知らない、馬鹿な自分に戻りたい。
気づいたら、俺は眠っていた。このまま、覚めないまま優しい夢の中に居れたらどんなに…良いだろうか。
目が覚めたら、外は暗くなっていた。お腹は空くのに、どうも食べたく無い。
食欲が、わかない。
けど、シャワーだけ浴びてまた部屋に戻ろう。今、寺下くんの顔を見たくないから。
ホッと安堵した。リビングに、寺下くんは居ない。リビングを通らないと、風呂場には行けないから。
「…や、山田」
ビクッと身体が震えた。
「な、何かな?」
平常心で、冷静に。寺下くんの方を見た。
「い、いや…」
あ、目…そらされた。
冷える心は、痛かった。
馬鹿だな。
そう、誰かに言われたような気かした。
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