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大浴場には、俺が思ってた程人はいなかった。
ちなみに、 西村くん達は部屋の風呂を利用しちゃったらしい。
残念、皆で入ったら楽しかったかもと、ひとり考えていた。
衣類を脱いで、いざ、大浴場へ。
「うわぁ、広い。お風呂、いっぱい」
「だろ。それにしても、お前モヤシっ子だな」
言い返す言葉がない。卑怯だ。
まさか、寺下くんの身体がこんなに筋肉質だった何て。
無駄のない、スラッとした手足。バキバキでは無いが、腹筋が割れている。
ある意味、男として羨ましい身体だ。
人って見かけで判断しちゃ、駄目だと改めて思った高1の風呂の中。
中の風呂以外にも、露天風呂もあった。サウナや、水風呂も完備。
はぁ、幸せ。
流石、私立。無駄な金の使い方をしているが、ありがたい事には変わらない。
「はぁっ……き、もち…い」
瞼を閉じた。風呂の中、ゆらゆらと俺の身体は揺られながらも外から内へと温まってゆく。
今日、一日でいろんな人に出会った。
初めに、担任の中垣先生。
同じクラスの西村くん。
寮長の小泉さん。
相部屋の寺下くん。
寺下くんの友達の松田くん。
誰もが優しく、親切で。嬉しい反面、夢じゃないかって思うくらいに。
俺が見たいと思った夢を見せてるだけなんじゃないかって。
それでも、いい。
今は、幸せなのだから。
その後、俺はのぼせるまで風呂に入ったか、入らないかは別のお話し。
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