第1話

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大浴場には、俺が思ってた程人はいなかった。 ちなみに、 西村くん達は部屋の風呂を利用しちゃったらしい。 残念、皆で入ったら楽しかったかもと、ひとり考えていた。 衣類を脱いで、いざ、大浴場へ。 「うわぁ、広い。お風呂、いっぱい」 「だろ。それにしても、お前モヤシっ子だな」 言い返す言葉がない。卑怯だ。 まさか、寺下くんの身体がこんなに筋肉質だった何て。 無駄のない、スラッとした手足。バキバキでは無いが、腹筋が割れている。 ある意味、男として羨ましい身体だ。 人って見かけで判断しちゃ、駄目だと改めて思った高1の風呂の中。 中の風呂以外にも、露天風呂もあった。サウナや、水風呂も完備。 はぁ、幸せ。 流石、私立。無駄な金の使い方をしているが、ありがたい事には変わらない。 「はぁっ……き、もち…い」 瞼を閉じた。風呂の中、ゆらゆらと俺の身体は揺られながらも外から内へと温まってゆく。 今日、一日でいろんな人に出会った。 初めに、担任の中垣先生。 同じクラスの西村くん。 寮長の小泉さん。 相部屋の寺下くん。 寺下くんの友達の松田くん。 誰もが優しく、親切で。嬉しい反面、夢じゃないかって思うくらいに。 俺が見たいと思った夢を見せてるだけなんじゃないかって。 それでも、いい。 今は、幸せなのだから。 その後、俺はのぼせるまで風呂に入ったか、入らないかは別のお話し。
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