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【Side 寺下 正行】
おはよう、とでも言っておくか。
そして、初めまして。寺下 正行だ。宜しく。
最近と言うよりも、山田が転校してきてから、食堂で飯を食べる事が減ったと思う。
元々、自分で作ったりもしていた。作る事自体、苦手では無いからだ。
でも、山田がきてからは何かが変わったような気がする。
楽しそうに、嬉しそうに料理を作る山田を見てると心が温かくなる様なそんな気になる。
料理自体は、決して凝ったものではない。けど、家庭的で優しい味がする。
嫌いじゃない、寧ろ、好きな部類に入る。
山田だからか、ゆったりとした時間も悪くない。
食事を作るのが山田なら、俺は後片付けや出来上がった料理を運ぶのも俺。
俺がしたいからしてるだけ。
それだけなのに、山田はいつも嬉しそうに笑う。特別な事のように。
ふと、インターフォンが鳴った。
山田がでる前に、俺が代わりに行った。間違いなく、あいつらだと俺の直感がそう言ってるからだ。
開けた途端、やはりと溜息を吐いた。飛びついてきた清を避けるの至難のワザだ。
「おはようございます、正行くん。あれ、良い匂いしますね。もしかして、朝ごはんですか?良いですね」
キラキラとした目で清は、俺を見る。
「おはよう、悪いな。寺下」
悪いと思うなら、清をどうにかしろと内心毒を吐いた。
「あ、おはよう。西村くん、松田くん」
「お、おい。馬鹿っ」
「おはようございます、山田くん」
そう言いながら、勝手に部屋の中に入ってきた。きちんと、靴は脱いで。
そして、山田に抱きついた。
「うわぁ、松田くん?」
驚いてはいるも、嫌がる素振りは全くない。寧ろ、嬉しそうに笑う。
「あれ、山田くんからも良い匂いしますね」
「へっ?あ、朝ごはん、食べていたところだったからかな」
素直と言うか、正直に山田は言った。
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