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「私は、野村千智。あなたは?」
「お、俺は、山田純です」
「そう、宜しくね、純くん」
ニコッと笑う、野村さんに俺はドキドキしてばかり。
それにしても、お店ってどんなんだろう。チラッと横目で、野村さんを見たら、目が合った。
思わず、俺は目をそらしてしまった。俺の考が見透かされそうな気がしたから。
「ふふっ」
到着し、店を目の前にして色んな意味で驚いた。
レトロな喫茶店だった。
「どう、私のお店なの」
「す、素敵です!!」
思わず、声が大きくなってしまった。声の大きさに、野村さんは驚いた表情をしたが直ぐに和かに笑う。
「ありがとう。さあ、店に入って」
「はい」
カランッと軽やかに音をたてながら、ドアが開いた。
店の中は、カウンターと数個のテーブル。広くはないが、狭いと思わせるほどでも無い。
客は、数人。女性の方が、やや多いようだ。
店の中で、流れている音楽はテンポがゆったりとしていて、俺は好きだな。何て、曲なのかな。
「……店長、誘拐は犯罪っすよ?」
「うわぁ…流石に引きますわ」
「ちょっ…待ってよ。レモンを拾ってくれただけよ、ね?」
「え、あっ、はい」
「店長…強要はいけないっすよ」
「だから、違うのよ」
彼らのやり取りが、俺は笑ってしまった。
「…純くん」
「あ、ごめんなさい」
「ううん、良いのよ。笑った方が可愛いわ」
「店長、お願いだから…犯罪は駄目ですからね」
可愛いわけが無い。
犯罪?
よくわからない。首を傾げる俺に、野村さんは苦笑した。
「中学生に、手を出しちゃ駄目っすよ」
今、何て言った?
中学生って聞こえた様な。いやいや、それは無いわ。
「俺…高校生です」
「「「嘘?」」」
「…………」
ショックで、涙が出そう。
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