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【Side 西村 朋宏】
こんにちは、皆さん。俺は、西村朋宏。宜しくな。
挨拶はそれくらいにして、何故か俺と寺下、松田は山田をストーキングしている。
「あいつ、お洒落してた。誰かに会うんだ」
「デートって事ですね」
空気が読めないのか、ワザとなのか。寺下は松田の言葉により、身体が硬直する。
「で、で、で……デート?」
動揺する寺下を見たの初めて見た。
「何慌ててるんですか、正行くん?山田くんも、男の子なんですね」
のほほんと言う松田とは裏腹に、寺下の顔色はますます悪くなっていく。
「…ま、まあ、デートと決まったわけじゃない…はず」
「だよな」
それにしても、寺下が誰かをここまで気にいるとは。
「うわぁ、誰か来たようですよ」
寺下と俺は、目が点になった。本当に、誰か来た。
しかも、男。かなり顔が良い。
何か話してるが、全然聞こえない。けど、山田の頬が赤く見えた。
本当に、デートなのかもしれない。
「で、デート…なんだな」
真っ青になる寺下。その反対に、松田は楽しそうに笑ってる。
「それは、楽しそうですね。山田くん、嬉しそうですよ」
頼むから、松田。黙っててくれないかな。寺下が、ショックで固まってるぞ。
少しだけでも良いから、空気読んでくれよ。
「あ、山田くん達、移動し始めましたよ。さあ、早く行きますよ」
「お、おう」
俺たちは、ばれないようにコッソリと山田のあとを追う。
山田の横顔が照れのように頬を染める姿がまるで、恋をしてる少女のように見えた。
「……山田」
呟く寺下の声は低く悲しそうだ。
歩いていてついたのは、レトロな喫茶店。
中には入れず、外から眺める事にした俺たち。はたから見たら、俺たちは怪しいだろうな。
そう思えたら、何だか苦笑がこぼれた。
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