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「あんたら、ウチの外で何やってんねん」
おかっぱのお兄さんは、仁王立ちで言う。
「え、いや、俺らは、「山田を追っかけてきただけだ」
寺下は、俺が言いきる前に言葉を遮る。
「誰やねん、それ」
「あの子ですよ」
松田は、山田の方へ指を差した。
「せやったら、中に入ればえんとちゃうんか?」
入れたら、苦労しないよ。勝手に尾行したのばれるし。
またまた、会ったとも言ったとしても嘘だと見抜かれそう。
「訳ありなんか?」
大した理由ではない。理由すら、ない。
「そうでは、無いんですよ。山田くんが、デート「いやいや、違うから」
KY(松田)、少し黙ろうか。俺は、KYの口を押さえた。
「デート…?相手、見当たらへんで」
怪訝そうに言う、おかっぱなお兄さんに寺下は、山田の相手の人を指差した。
「嘘やろ。あいつ…なんか?」
俺たちは、首を縦に振った。
お兄さんの顔が引きつる。そして、勢いよく店のドアを開け入っていった。
「おい、コラ。犯罪に手だすなや、アホ店長!!!!」
お兄さんの声は、ハッキリと聞き取れた。
慌てて弁解しているのはわかるが、何を言ってるかは聞こえない。
あ、こっちにお兄さんが来て、ドアを全開にした。
「自分ら、勘違いにも程があるで。本人に、直接聞いたらえんとちゃう?」
アホらしいと、お兄さんは呟きながら店の奥へと行ってしまった。
「あ、あれ…どうしたの皆?」
苦笑している山田。
ふと、気付いたら寺下が山田のとこまで行っていた。
「あの男とデキてるのか?」
山田は、目をパチパチさせる。
「俺と野村さんが?」
頷く寺下。山田は、クスクスと笑い出した。
「ち、違うよ。レモンを拾って、お店まで持って行っただけだよ。野村さんとは、さっき知り合ったばかりだよ」
山田から、嘘は全く見えない。
「本当なのか?」
寺下は睨むように、相手の方を見る。
「そうよ…」
野村さんと、山田から呼ばれているお兄さんは疲れたかのように言う。
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