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「俺は、西村朋宏。よろしく」
「よろしく」
隣が、西村くんみたいな子で良かった。ドジな事ばかりだと思ってだけど、運が向いてきたかも。
「今日、一日…悪いけど教科書見せて貰っても良いかな?」
「もちろん」
「ありがとう。良かった」
ホッと俺は、安堵した。もし、仮にヤダと言われてたらと考えてたからだ。
本当に、西村くんが隣で良かった。
一日目は、あっという間にすぎ様としていた。俺は、一日金魚の糞の様に西村くんと一緒だった。
嫌じゃ無かったかな。
でも、西村くんは顔色変えず笑顔を絶やさなかった。
本当に良い人。
ホームルームが、終わり教室を出ようとしたら、西村くんに呼び止められた。
「寮に行くのか?」
「うん」
「だったら、一緒に行かないか?」
「良いよ」
ふと、そう言えば西村くんは部活入ってないのかな。俺は、面倒だから入る気は毛頭無い。
学校から、寮までの距離は徒歩で5分。寮はアパート的な感じを想像していた。でも、良い意味で違った。
ホテルみたいだ。思わず、俺はボケッと眺めていると、隣から笑い声が聞こえた。
嫌味がない、軽やかな笑い。
「山田って、本当に面白い」
「そ、そんな事無いよ。でも、今日一日ありがとう」
「俺、何もしてないけど?」
俺は、頭を振った。
「そんな事無いよ。一緒に居てくれた。凄く、心細かったから…嬉しかった。だから、ありがとう」
「当たり前だろ。俺たち、もう友達なんだから」
「うん!」
友達、その響きが堪らず嬉しく、俺は笑みで返した。
「…と、取り敢えず、寮長に挨拶。まだ、だろ?」
「うん」
「ついてきて」
「ありがとう」
ほんの少し、西村くんの頬が赤く見えたが気のせいだろ。きっと、夕日の所為だ。
ありがとう、俺はもう一度心中で西村くんに呟いた。
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