第1話

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寮の中に入ると、思いのほかシンプル。 月並みな暮しをしてきた俺にとっては、豪華であるよりかはこっちの方が落ち着く。 「お帰りなさい。そして、ようこそ。山田純くん」 美形、その言葉が相応しい。キラキラとしていて、眩しいくらいだ。 「…こちらが、寮長の小泉アンジェさん」 「よろしくね」 ハーフなのかな。 「僕は、日本人の父とフランス人の母から産まれたハーフだよ」 一瞬、小泉さんに心を読まれたのでは無いかとひやっとした。 黒い髪に、白い肌。青いに近い緑の眼。 「綺麗…」 無意識だった。 「へっ…?」 「えっ、あ、その…眼が綺麗で、その、ごめんなさい」 言葉がまとまらない。顔が熱くなる。 「ありがとう。気に入ってるから」 照れる様に、小泉さんは笑う。綺麗、その言葉以外見つからない。 ううん、見つけようが無いんだ。 「そうそう、君にコレを」 手渡されたのは、鍵。 「部屋の鍵だよ。荷物は、部屋の中に置いて置いたからね。何か、わからない事があったら5階で501号室にいつでもきてね。僕は、これから用があるから失礼。あ、そうそう、山田くんは3階の308号室だよ。それじゃ、またね」 「あ、ありがとうございます」 その事だけしか言えなかった。ヒラヒラと小泉さんが振るから、 俺も釣られて振っていた。 部屋まで、西村くんに色々と説明を聞いていた。 朝と夕は、大きい食堂で食べるらしい。時間は決まっているから、それまでだったらいつでも来ていいらしい。 部屋の中にも、ミニキッチンがある。一人がいい人の為でもある。 ちなみに、俺は月並みに料理や家庭的な事はできる。 近くにスーパーやコンビニもあるし、そこで調達。なんて、恵まれた環境。 内心、ガッツポーズした。 あとね、温泉もあるんだって。凄すぎ。 更に、部屋にも風呂はついて居る。もう、色々と揃い過ぎて驚きっ放し。
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