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寮の中に入ると、思いのほかシンプル。
月並みな暮しをしてきた俺にとっては、豪華であるよりかはこっちの方が落ち着く。
「お帰りなさい。そして、ようこそ。山田純くん」
美形、その言葉が相応しい。キラキラとしていて、眩しいくらいだ。
「…こちらが、寮長の小泉アンジェさん」
「よろしくね」
ハーフなのかな。
「僕は、日本人の父とフランス人の母から産まれたハーフだよ」
一瞬、小泉さんに心を読まれたのでは無いかとひやっとした。
黒い髪に、白い肌。青いに近い緑の眼。
「綺麗…」
無意識だった。
「へっ…?」
「えっ、あ、その…眼が綺麗で、その、ごめんなさい」
言葉がまとまらない。顔が熱くなる。
「ありがとう。気に入ってるから」
照れる様に、小泉さんは笑う。綺麗、その言葉以外見つからない。
ううん、見つけようが無いんだ。
「そうそう、君にコレを」
手渡されたのは、鍵。
「部屋の鍵だよ。荷物は、部屋の中に置いて置いたからね。何か、わからない事があったら5階で501号室にいつでもきてね。僕は、これから用があるから失礼。あ、そうそう、山田くんは3階の308号室だよ。それじゃ、またね」
「あ、ありがとうございます」
その事だけしか言えなかった。ヒラヒラと小泉さんが振るから、 俺も釣られて振っていた。
部屋まで、西村くんに色々と説明を聞いていた。
朝と夕は、大きい食堂で食べるらしい。時間は決まっているから、それまでだったらいつでも来ていいらしい。
部屋の中にも、ミニキッチンがある。一人がいい人の為でもある。
ちなみに、俺は月並みに料理や家庭的な事はできる。
近くにスーパーやコンビニもあるし、そこで調達。なんて、恵まれた環境。
内心、ガッツポーズした。
あとね、温泉もあるんだって。凄すぎ。
更に、部屋にも風呂はついて居る。もう、色々と揃い過ぎて驚きっ放し。
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