失われた魔法

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一通りの食事を済ませ、話をしていると5人で何処かに行こうという話になった。 四人も夏休み中で時間があるらしい。 風『でもさ、どこにいく?』 恵理『んー山にキャンプとかは?』 ルナ『いいねぇー』 たかし『夏はやっぱり海だろーなっ!』 風『海もいいよな!』 カンナ『私も海がいいなぁー』 恵理『けど、海は混んでるじゃない?』 風『地図で探してみるか。確かロッカーにあったから。』 たまに外国人のお客が道や場所を聞いてくる事があり、地図をロッカーに入れて置いたのだ。 風『ちょっと取ってくる。』 恵理『じゃ、その間にケーキ食べよっ』 カンナ『あんたまだ入るわけ?』 ルナ『デザートは別腹だよねー』 厨房のドアを開け、中に入るとスタッフが一生懸命料理を作っていた。 スタッフ『お客さん、ここは困ります。』 風『俺だよ俺。』 スタッフ『あっ、風さん!びっくりしたー』 風『どぉ?みんな大丈夫?』 スタッフ『えぇ。風さんが用意してくれたマニュアルでみんな頑張ってますよ。』 何かあった時の為に風はマニュアルを書いてスタッフに渡していた。 火加減や温度、盛りつけや味付けなどを細かく書いたメモをスタッフ全員に渡してある。 風『ちょっとロッカーに忘れ物してな。』 スタッフ『そうでしたか。じゃどうぞ。』 ロッカーに入ると明かりをつけようとスイッチを押したがつかない。 風『あれー。』 僅かな明かりを頼りにロッカーを開け地図を取り出す。 すると何かの気配を感じた。 『……………』 風『誰かいるのか?』 『も…う…一度…』 風『なに?なんなんだ?』 『ゆ…め…と』 風『誰なんだ?』 『ま…ほ…うを』 気味が悪くなりロッカー室から逃げるように出た風。 まわりを見ても誰かがいた様子がない。 風『もう一度。夢と魔法を。』 いったいどういう事なのかわからず、風は席に戻った。 たかし『遅いよー』 風『わりぃ。スタッフとちょっと話ててな。』 ルナ『風がいなくて寂しいですよーなんて言われた?』 風『そんな事ないよ。さて地図で探しますか!』 地図を広げると、一枚の紙がスッと抜け落ちた。 恵理『一枚落ちたよ。』 風『ボロいからな。』
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