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昼休みになると、教室が騒がしくなる。
他のクラスから人が来たり、昨日のテレビの話で盛り上がったりしている。
そんな中、僕は、谷中さんと話すために、立ち上がった。(立ち上がったと言っても、正直、膝がわらっていて、変な態勢になっていた。)
僕は、谷中さんの所にむかった。
ラッキーなことに、ほとんど友達と一緒にいる谷中さんが今は1人だった。このチャンスを逃すわけにはいかない。
僕は、谷中さんに話しかけようとしながら、自然を装って、近づこうとした。
「あ、あの…やな…さん、ほ、ほうかっかご、あの…その」
最悪だった。噛むし、谷中さんの名前もあやふやにしか言えなかった。
しかも、谷中さんが1人だったので、どう考えてもその言葉は谷中さんに向けられたものだとしか、考えられなかった。
「あっ、どうしたの神城くん?なんて、言ったか聞こえなかったんだけど…」
やばい。やばい。やばい。やばい。
どう見ても、不審に思われてるよ…
あぁ、出直したい。
でも、言わなきゃだよな。
よしっ、言うぞ。
「あの、もしよか…」
「おーい、神城、ちょっと職員室来てくれ。」
やっと、僕が決心して言おうとした言葉は、担任の上矢先生によって遮られた。
「あっ、えっ、はい。ごめん、谷中さん、ちょっと行かなきゃいけないから、また、後で言うね。」
僕は焦りながらも、先生に返事をして、谷中さんにもちゃんと謝った。
谷中さんはあまり状況がわかっていないようだったが、「うん。わかった。」と笑顔で言ってくれた。
そうして、僕は職員室へと向かった。
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