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「ナツキ。」
……………………。
それだけ?
そう思ったのが顔に出ていたらしい、ナツキにすごい顔で睨まれた。
更にもう一言。
「あんたに言いたい事は山程あるが、割愛。」
この、なんだかすごく嫌な奴は青色の髪に紺の瞳。そしてまた整った顔。しかめっ面だから何とも言えないけど、ハルキよりかっこいいかもしれない。
机の上の眼鏡は彼のものだろうか。癪だけどよく似合いそう。
自分の務めは果たしたと言わんばかりの風情でナツキは座り、隣の爆睡中男子を叩き起した。
「………ん?誰そこの人。」
頭を掻きながら顔を上げたそいつは私を見て、それからナツキを見てすぐ目を逸らして、ハルキに「どういう状況?」と恥ずかし気もなく尋ねた。
それ、私が居るところで聞くか?
全くもって常識外。
(政府の、校長が言ってた。)とハルキに耳打ちされた彼は状況を曖昧に理解し、自己紹介した。
「あーアキだけど。よろしく…しなくてもいいや別に。」
…この人達って失礼な事しか言えないの?
既に疲れて来たんだけど。
でもこの人もまた美形なんだよね、なに、『四季』って顔で選ばれてんの?
くすんだ緑のような黄色のような、つまり黄緑色の髪をはねさせて、寝起きだからか元からなのか垂れた目は翡翠と称しても良い位綺麗で。
加えて中性的な顔立ちは彼の纏う雰囲気によく似合っていた。
三人分終わったので、私も立ち上がって自己紹介する。
「えと、鑑先伊央です。
どのくらいの期間になるかは分かりませんが、よろしく。」
よろしくなんて全然思ってないけどね。とか、どこぞのマイペースと似たような事を胸中で呟く。
「俺らはあんたの仕事を終わらせるために何でもする。
ただ、俺らはあんたの仕事内容を知らないし、大した力になれるとも思わない。
学校生活を安全かつ順当に送るためのサポートが良いとこだろうな。」
ナツキは私に目もくれず、淡々と言う。
「分かった。」
「だが、話せる範囲で仕事内容は話してくれ。
あくまでそっちが本題だ。
楽しい学校生活を過ごす為に来た訳じゃないだろう。」
んなの分かってるっつーの。
言ってる事は間違いでもないし、言い方も別に普通だし…でも、何だろう。
彼が纏うこの堅苦しい雰囲気。すべてを拒絶するようなそんな冷たさを持ったこの空気が嫌だ。
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