その四季たちとの出会い

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「で?」 「え?」 「内容だ。 あんたは何をしにここに来たんだ。」 ああ。そんなに顔しかめなくても良いじゃん。 主語大事でしょ。 「人を探しに。」 「人…?校長が絶対人に話すなって言ったからどんな内容かと思ったら…。」 それまで黙っていたハルキがあからさまな落胆の色を見せる。もっとかっこいいのを想像してたんだろう。 でもこれ『人探し』だけど探すのは伝説上の人間。難易度どうこうじゃなくて、アホらしいよね。 「この学校の生徒のデータはもう持っている。 調べればすぐだ。」 ナツキは無表情で単調に言う。 彼が言うと本当にすぐ終わってしまいそうな気がするけど、実際そんな簡単じゃないと思う。簡単だったら私が出る必要はないし、とっくに見つかってる筈でしょ。 そもそも、『子供』の特徴とか知らないし…。 これじゃジジヌキだ。消去法でしか見つからない。 「見た目とか、特徴は?」 ハルキが痛い所を突いてくる。それが分かってたら、私はこんなに悶々としない。何て答えれば良いんだろう。 いや、答え様はひとつしかないんだけど彼らにどう思われるか…。真面目に取り合ってくれるだろうか。 「…見た目とか、分からない、です。」 「へー…………はい!?」 私の言葉を理解したハルキは大きな声を上げる。それから、「しまった。」という顔をした。 「うるさいぞハル。驚く事でもない。 それ以外の特徴があるんだろう?」 「残念ながらそれも。」 ナツキは声こそ出さなかったけど一瞬、ほんの一瞬顔をしかめた。 分かってる。 私だって。 どうやって探せばいいのかさえ分からないとか、何しに来たんだって。 「他に情報は?」 「親無し。 あ、生徒の10年前の写真とかって……。」 「不可能ではないけど、時間かかるだろうね。」 うわ、アキさん。 いつ起きたのあなた。 「親無しなんて珍しくもないが…、写真はもう少し時間が必要だ。」 アキを無視してナツキは床に置いてあった鞄からパソコンを出す。そしてそれを何故かハルキに渡した。彼が調べてくれるみたいだ。 「あと、親が死んだのが最近じゃない子で絞り込めますか?」 「この国じゃ死亡届が出されないのは当たり前だろ。学校側に申し出ない生徒もザラに居る。 絞り込めたとしても大して参考にはならないよ。」 ああ、もう。 結局長期戦になりそうだし。
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