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悶々とする私の脳内に高い鐘の音が響く。チャイムだ。
今の時間が朝のHRだったからきっと今の鐘は10分休憩の合図だろう。
ハルキが立ち上がる。
どうやら授業は出なきゃいけないらしい。
そりゃそうか。学生だもんね。
ていうか、転入生なのに朝のHRに出なかったのはまずかったのかな。
「まあここで悩んでてもしゃーないし、とりあえず授業出よ!」
ハルキが伸びをする。
ナツキも「仕方ないな。」と言う風に立ち上がる。それから、思い付いた様に問う。
「この仕事には危険が伴うのか?」
うーん。どうだろう。
『子供』が抵抗すれば、乱闘になるかもしれないし。
絶対に安全だとは言えない…な。
「まあ、場合によっては。」
私の答えにナツキは少し考える素振りを見せて、ぽつぽつと話す。
「じゃあ…これはあくまで俺個人の意見だが…なにかトラブルが起きても俺は、仕事優先で行動するぞ。」
「私が怪我したりして荷物になるかもってこと?」
「必ずしもそうなるとは限らないが…、自分の身は自分で守れという話だ。」
ナツキの言うことはもっともだし、私だって運動も武術も出来る。この人達に迷惑をかけるつもりは無いので頷く。
なぜかハルキはナツキの横で口を挟みたそうにしてるけど。
「あと…もしあんたが動けなくなった場合、どうすればいい?
仕事は続行するのか中断するのか。」
突如、ハルキが大声を出した。
「何だよそれ!
何で始まったばっかでそんな話してんだよ!?
そんな事になんない為に俺らが居んだろ!
つーか動けなくなるってなんだよ!!」
ハルキとの温度差激しく、ナツキはただ静かに「常に最悪の場合を考えなきゃいけない。」と言う。
私もその通りだと思う。
だから、
「関係ない。
私に何が起きても仕事は続行して下さい。
切羽詰まってどうしようもなくなったら、全部言うから。」
その答えにナツキは満足したのか頷いた。
ハルキは軽く流されてしまったのが不満なようで、ナツキの横で不貞腐れてるけど。
「じゃあ、ナツキが仕事を優先するんだったら、俺は君の事を第一に考える。
トラブルあっても俺達で何とかするし、無理はしないで。
そのための俺達だから。」
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