その昔話の意味

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村の人々はお米や野菜など農作物を作って暮らしていましたが、それらも全て駄目になってしまいました。 村の人達は食べ物が無くなって、どんどん倒れていきました。 生きているのはもう数人しか居ません。 ある時、村長が言いました。 「竜の所に行こう。」 村人が聞きました。 「どうしてですか。」 村長は言いました。 「子供達を竜に助けてもらうのだ。 わしらはもう余生があまりないが、子供達にはまだ楽しい人生が待っている。 地獄を乗り越えて来たのにこのままではどう考えても死ぬしかない。 それはあんまりに哀れでないか。」 数人の村人が言いました。 「「その通りだ。可哀相だ。」」 「なので、わしはこの子供達を生かしたい。 竜の生き血はどんな病気でも怪我でも治してしまうという。 それに加えて竜は長生きだ。 竜の生き血を分けてもらおう。 竜に、助けてもらおう。」 村人達は皆賛成しました。 村人達と村長と子供達は竜の所に行きました。 竜の所に辿り着いた村長は言いました。 「竜よ。 この純粋な、これからの世界の礎となるであろう子供達を助けたまえ。 竜の血を彼らに分けてやってくれ!」 竜は重々しく頷きました。 「私の血などいくらでもくれて遣る。 然し、無条件とは余りに貴様等に都合が良すぎる。 代わりのものを差し出せ。 死にかけをも全快にし、その儚い命を長命にし遣る我の血に見合うものを。」 村長は村人と話しあって言いました。 「儂らが竜の奴隷となろう。 死ぬまで竜に遣えよう。 だから子供達に授けてやってくれ。 そして、この子達を幸せにしてやってくれ……!」 竜は子供達に自分の血を分けてやりました。 子供達はそれまで汚い環境で過ごしていたせいか、病気になっている者も多かったのですが血のおかげですっかり治りました。 子供達はそのまますくすくと育ちました。 竜は長生きです。 その竜の血を体に取り込んだ子供達も、年を取る早さが尋常ではなく遅くなりました。 *
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