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「誰? なんで私の名前知ってるの?」
お兄さんみたいに綺麗で中性的でもなく、
響みたいにかっこよくて色気があるわけでもない。
静也くんに近い、雄のような大男に身構えてしまう。
「お嬢さんが余りにも綺麗だから」
「――あっそ。私、婚約者が要るから」
指にはめている指輪を見せつけると、その男は笑った。
「だが、響は返してもらうよ。なかなか尻尾出さねぇから時間かかったじゃねーか」
前髪を触りながら、男は余裕たっぷりの顔で言う。
「あいつは俺のもんだ。もう待てねぇ。帰らないなら拐いに行く」
「は?」
「2日待つ。2日後に良い子になってこのホテルに来るなら俺は全て許してやる」
胸元に手を入れたから、銃でも出すんじゃないかと身構えてしまう。
けれど意外にもケースから名刺を取り出しただけだった。
「愛しの響に、これを渡してくれねぇか?」
「い、嫌に決まってるでしょ!」
「じゃ、一緒に今からそっちに行くか。Blumen und Himmelだったけ? あの花屋」
「なんでソレを!? あんたが響の変態ストーカー!!!? 下着なんて送って気持ち悪いったら!」
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