107人が本棚に入れています
本棚に追加
そらは外見とは裏腹に、甘えんぼで可愛い奴だった 。
モデルとかしてるから綺麗な女の子なんていっぱい知ってる。けどあんま興味なかった。
それもそらには居心地が良かったみたいだ。
綺麗なんだけどどこか冷めてて、隙を見せない卑屈屋。
プライドが高そうでなつかない子猫は、鳴き方を知らなかった。
両手を広げて抱き締めたら、喉を鳴らして甘えてくるのに。
そらが甘えられるのは俺だけ。
からっぽで退屈で、何か飢えてたから、
俺も全力で餌をあげた。
愛情をいっぱいあげればあげるほど、そらは俺を求めてくれた。
『代わりにそばにいてよ』
躊躇いもなく初ボーナスから俺にお金を差し出して貸してくれた。
ああ、めっちゃ可愛い。まじで愛しい。
人を好きになるって綺麗な心なんだな。
人を好きになるって視界が色鮮やかになるんだな。
一人じゃないって、世界が輝いて見えるんだな。
そう思って、『あの日』海外撮影に出発するはずだった。
向かった先は、打ち合わせを兼ねて空港近くのホテルだ。
最初のコメントを投稿しよう!