Four years ago 井ノ山 響

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いっつも、ちょっとワガママで、強引で、いっぱい笑顔をくれた。 ――愛に痛みはつきものさ。 冗談混じりで笑っていたけど、確かにそうだった。 響は甘い痛みを教えてくれたんだから。 そんな響が弱くなったり悩んだり逃げたり。 それって、もしかしたら歪んでいても、変わった『愛の形』だったりして。 理想と違うから戸惑ってお兄さんに惹かれたり、私の為に胸を痛めてくれているならば。 解放してあげたいって思った。 「そら……」 「それ、貸して」 響から名刺を奪った。 響は名刺をほぐしてちょっと伸ばしてくれた。 ぐしゃぐしゃな皺だらけだけど、電話番号は微かに見えた。 「話は分かった。ショックだったし納得できないけど、響の置かれている状況は分かった。 で、響はどうしたいの?」 「…………」 顔を上げて、私の顔を真っ直ぐ見つめた。 「       」 それを聞いて、何だか安心して笑ってしまった。 「わかった。ちょっとお兄さんと代わるから」 名刺をポケットに隠して、お兄さんがいる部屋に戻った。 「ちょっと、静也くんの所に行ってくる」image=478186134.jpg
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