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「まさかお嬢さんの方から連絡して来るとはな」
嘉山狼を呼び出したら、あっさり自分が泊まるホテルを指定して来た。
先程とは違うホテルの最上階にある会員制バー。
やっぱあんな安い所、泊まるふりしてたのだと思うと腹が立つ。
個室ではないけど、夜景が見える席は離れていて、
観葉植物が死角になり顔や声は向こうに届かないらしい。クラシックが流れる、静かすぎるバー。
「響じゃなくて残念でした。それより、聞きたい事があるの」
「ああ。煙草は良いか? 酒は?」
「要らないし好きにして」
やっぱり、響と同じ煙草の銘柄だった。
「響、煙草辞めたのはお兄さんの為かと思ってたのに」
「あ?」
「煙草の臭いで、貴方を思い出すのが嫌みたいよ」
そうはっきり言うと、嘉山は口笛を吹く。
小馬鹿にされた気がしていい気はしない。
「単刀直入に聞きますけど、貴方は響が好き? それとも身体だけ?」
足を組み直して睨み付けるが、嘉山から反ってきたのは意外な反応だった。
「ぶははははっ! 何だ? 好き? 身体?」
余りにも大きな声で笑い出すので他の客が振り返ってきて視線が痛い。
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