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「ふぅん。まぁ今聞いた台詞を、響に伝えるから分からないけど」
「俺も気になってんだが、お嬢さんは響と寄りでも戻したのかい?」
……どこまで調べたか分からないけど、四年前まで私たちが付き合ってたのは知ってるのか。
「戻したくても、戻らないものってあるの。私と響は、『あの日』、貴方の我が儘で引き離されたまま」
「そりゃあ、悪かったな」
「信用はできないけど、貴方の考えだけは知れて良かった」
そう言って立ち上がった時、嘉山は皮肉を込めて笑った。
「お嬢さんを捕まえたら、響は心配して助けに来るんじゃねえかな?」
「多分ね」
「じゃあ、のこのこ一人で来たら駄目だろーが。簡単には帰さないかもよ?」
ニヤッと笑われたから、ニヤッと笑い返した。
「一人じゃないから」
スッと伸ばされた腕に引きずられながら、バーから出てエレベーターに乗り込んだ。
「食えないオッサンだったわね」
「そらちゃんって、意外と危ない橋渡るよな」
静也くんに響を預けた後、さっき渡した珈琲代のおつり代わりに此処まで着いてきてもらった。
静也くんなら、あの嘉山と体型変わらないから壁になりそうだったし。
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