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「じゃあ、お前たち、早く落ち着いてくれよ」
頭をポンポンと叩かれて、納得してしまった。
ああ、なるほど。世話を焼いてしまう性格の静也くんなら、こんな不安定な私たち、放っておけないよね。
「おかえりなさい、そら。一緒にお風呂入りましょう」
「…………」
「わー! 閉めないで! 家に入って来て下さい」
家のドアを開けた瞬間、バスタオルを持って待ち構えていたお兄さんを見て、ソッとドアを閉めた。
……帰って来るのを待っててくれてたのは、自分が安眠したいからか私が心配だからか。
「そ、の、せっかくそらと恋人になれたのに、バタバタしてイチャイチャできなかったじゃないですか」
「恋人……?」
「あ、婚約者でしたか?」
イマイチ、ピンと来てなかった。
だって、あの女に苛々したし、
まだ私、未練たらたらだし。
「とりあえず、全て1回洗い流しましょう」
「いや、一人で入りたいけど」
「…………」
「…………」
お兄さんの綺麗な笑顔がそのまま近づいてきた。
逃げる暇もないぐらいに。
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