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ミルキー色のお風呂に入りながら、薔薇の花びらを1枚1枚、プツプツとちぎっていく。
お兄さんも楽しそうにピンクの花びらを1枚、1枚、お風呂にばら蒔いている。
逃げられないしお風呂には入りたいし、でこうなってしまった。
対面してお風呂に入っているが、肩まで浸かっているから見られないのは助かるけど。
電気の下、お兄さんのがっしりした肩とか胸板とかはっきり見えてドキドキしてしまう。
「ピンクの薔薇の花言葉は、『愛をまつ』」
「へぇ……」
「僕はそらの愛をまつ身ですからね」
「そんな事、ないよ」
「いいえ。そらを抱いたはずなのに、僕は未だにそらの愛を得たのか自信がありません」
全て花びらを千切り終わると、籠に茎を片付けてまた新しい薔薇を取り出した。
オレンジ色の花びらを、ピンクと赤の花びらが浮かぶ水面にちりばめ始めた。
「そう言えば、トゲのない薔薇の花言葉は『初恋』。
どうでしたか? 初恋の味は」
――初恋の味って、お兄さん……。
「いや、幸せでしたよ。お兄さん、優しいしその、慣れてるから全て任せられたし」
「僕も、幸せな時間でした」
タプンッ
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